NO241.引き下がらない大切さ…

NO241.何があっても…不動心で
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子ども達の療育支援の中で、絶対にしてはならない事は、嘘をつかない事、約束を忘れない事そして、何があっても引き下がらない事が大切であると考えております。

他にも大切な事は山のようにありますが、特に我儘なお友達に対して妥協しない事が大切であると確信しています。引き下がらない心…不動心が大切です。

きちんとなぞり書きが出来なかったAさんは…
言葉は達者で、読む事も出来て、身体的にも何も問題が無かったAさん、自閉傾向が強かったのですが、どうしても文字のなぞり書きが出来ませんでした。手をそっと添えてあげると書くのですが、単独では適当に書いて点線を意識せずきちんと文字を書く事が出来ませんでした。

能力的にも技術的にも知能的にどう勘案しても書けないわけはないのです。試行錯誤の2ヶ月余りが経過しましたが、どうしても手を添えなければ書く気持ちにならなかったようで、保護者の了解のもと最終手段に出る事に致しました。

「書くまで帰しません。」
「お母さんには帰ってもらいます。」

ここからAさんの反撃が始まりました。泣きわめく、筆記用具を投げ捨て「帰りたい」の連呼。何度もトイレに行き、時間を伸ばす…考え付く事は何でも行いましたが、結局数時間後見事になぞって帰る事ができました。

激闘の詳細は、「NO225.心のデスマッチ」をご一読下さい。


外はまっくらでした。

その後、私の指示が通るようになりました。

ご自宅でも何か困ったら、「COMPASSで合宿する?」と言われると途端に頑張れるようになったそうです。「ちゃんと出来ないのなら先生に電話するよ。」というときちんと取り組む事が出来るようになったそうで、効果は抜群でした。

このような支援をいつでも実施出来るわけではありません。保護者の絶対的な了解がなければなりませんし、このような支援に至るまでのステップも山のようにあり、十分な理解を得たうえで取り組まねばなりません。

本人も、支援者も保護者も辛い指導方法ではありますが、支援者、保護者、学校や園の先生の指示を優先する事が出来るようになれば、お友達は、より幅広く成長の機会を獲得する事が出来るのです。

頑固で、一人で解答出来ないBさん
年長のBさん、通例の何倍も指示をだして促さねば、鉛筆を持って解答を書く事ができません。何でもスローモーでキビキビ感もなく、答えを知っていても間違えるのが嫌で、自分から進んで答える事が出来ませんでした。そして何より嫌と思うとてこでも動かない所がありましたが、激闘90分朝からの支援だったのですが、やらないと時間が来ても帰れない事、一緒に来た保護者の方も「お昼ご飯は出来るまでありません。」と他の職員と一緒にBさんを横目に食事をとるととうとう観念してあっという間に課題を終わらせる事ができました。

それから頑固さもとれ、自ら進んで課題に取り組めるようになりました。大きな進歩です。

食いしん坊でよかったのですが、やろうという心の原動力は、帰れない事、食べられない事で、途中で妥協してしまえば、その後の結果は得られなかったと考えています。

途中で意地をはってトイレ行かず、お漏らしもしてしまいましたが、騒ぐことなく淡々と処理をして中途終了も回避できた事も「やらなければ…」という気持ちにも繋がったのではと考えます。何があっても負けてはならないのです。

Bさんは小さいお友達で可愛らしいので、つい手を貸してしまいたくなるタイプで、逆に言えばいつも甘えられ、支えられる環境にもあったのですが、この激闘でようやく誰でも指示が通るようになり、自主的な行動がみられるようになりました。

引き下がってはいけないのです。

泣かれてうるさいから、面倒だからと本人の意思を許容していると我儘大怪獣になってしまいます。怪獣から引き戻るのは、甘えてもどうしようもない事を知らせる事なのです。

お友達は甘えてみたり、泣いてみたり、物を投げたり、暴れてみたり、こちらの機嫌をとってみたり、寝たふりをしてみたり、時には嘔吐したり、お漏らしをしたり、脱糞する事もありますが、面倒だと引き下がってはならないのです。

このやり取りに勝利すれば、コントロールが出来るようになり、結果その後の華々しい成長に繋がるのです。

不動心を意識し対応する事で問題の糸口が得られます。わがまま大王がお家におられるのでしたら、是非一度計画的に対応してみて下さい。

嘔吐しても、お漏らししても慌てない気持ちと事前準備を手配した上で対峙して下さい。

不動心…辛いのですが一歩も下がらずに支援出来れば、多くの問題を解決出来ます。