NO.370 脳科学から考える療育 その1

NO.370 厭きるか 慣れるか…
 保護者心得   【自閉】 【LD】 【多動】

 今回は、脳科学を証左とした、療育に関してのお話をさせて頂きたいと思います。

前回の「無理をして難しい事を教えるのは可哀そう…」(NO.369)という論調に対しての対案を最新の脳科学をもとにお話したいと思います。

最新の脳科学で解明されている事に、人の脳は基本的に「物事に慣れてしまう」という事実があります。

何か初めて見たり、行ったりした場合、例えば生まれて初めてダイヤモンドを見たとき、「凄い~きれいだな~」とうっとり見つめてしまうのですが、2度、3度見ているうちにそのものに慣れてしまって、初めて見たときのような反応は薄れてしまいます。
初めてみ美しいビーチも、近くに住んでいる人からすれば、さして珍しいものでもない風景…よく美人も3日みれば〇〇と言われたりしますが、この慣れてしまうという事を「馴化」と呼びます。

  馴化(じゅんか)とは、ある刺激がくり返し提示されることによって、その刺激に対する反応が徐徐に見られなくなっていく現象を指し、、得にも損にもならない中立的な刺激に対して生じやすい。人間だけでなくほぼすべての生物が馴化を示す。

慣れてしまって、反応が鈍くなるというと良いかもしれません。

この慣れた状態から私達の脳は2つの道をたどる事となります。

一つの道筋は 飽きちゃった型で
慣れた(最初は楽しかったのに…)→
飽きちゃった(おいしくないよね…)→
やーめた(明日があるさ…)…
とう流れとなり、私の経験から説明すると、〇〇食ダイエットをするぞ→〇〇を食べるのに飽きちゃった→ダイエット終了→リバウンド…という3日坊主に終わってしまうタイプです。

もう一方の道筋は 習慣化型で、
慣れた(大変だけど出来たぞ…)→
面倒だけど頑張ろう(応援してくれるし…職員の手前やめにくい…)
習慣に(歩きたくてウズウズする)…
今の私の状況ですが、ウオーキングをするぞ→くるしいけど頑張るぞ→習慣になっちゃった→現在27キロダイエットに成功!という習慣化する道です。

昔の話ですが、お風呂で、髪の毛を洗うと、目にシャンプーが入ったり、耳に水が入って、洗髪がとても苦手なお友達も、お母さんと一緒に毎日お風呂に入る事で、慣れてきて、褒めてもらって、今では洗わなければ気持ち悪くなってしまう。

歯磨きも、馴化から習慣化した典型的な行動の一つと言えます。逆に恋人同士の倦怠期等は飽きちゃった型に当てはまるものだと考えられます。

では何故、習慣化できたのでしょうか?

良い行い、理想的な行動を習慣化出来れば、怖い物無しになれるのに…

私の30年の指導経験から言えるのは、嫌な事でも、繰り返し続けていけば習慣に変化出来るという事です。

キーワードは「繰り返し」だったのです。

自発的に行動出来ればそれが一番ベストですが、お友達一人で頑張れない場合、課題が困難で難しい場合、それらをフォローしてあげる体制を確保する事でそれを容易に進める事ができるのです。

どんなフォローが大切なのでしょうか?


Q:お友達一人で頑張れない場合
A:保護者や、指導者がその背中を後押ししてあげるのです。

Q:課題が難しすぎる場合
A:課題の難易度を下げて、取り組みやすい課題に作り替える事

この2つで多くの問題を習慣化出来るのです。

そしてプラスの調味料は?


① 成長や変化、続けている事を褒めまくる。
② 成長や変化を一緒に喜ぶ。
③ 楽しい雰囲気で、でも規律正しく、明るく支援を行う。

この3つの調味料が上手く作用すれば、子ども達に劇的な成長を呼び起こす事が出来るのです。

つまり、困難な課題であっても、繰り返し、何度も何度も何日も指導し続け、適時に調味料をふりかける事で、習慣化を成し遂げ、課題を克服する成功体験から、学ぶ事が得意となり新たな成長へと結びつける事が出来るのです。

繰り返す事で困難を困難と感じなくなり、取り組む事が当たり前で、褒められたりするような報酬を得る事でさらにその行動習慣が強化されるのです。

飽きちゃった段階で諦める事、可哀そうだからと課題から逃避させる考え方は、大きな間違いであるといえる一つの証拠であると考えます。
「無理をさせるのは、可哀そう…」という考え方が脳科学的にも間違えているかご理解頂けたのではないかと考えます。

次回はその2として、前々回のNO.368から話を発展させて、さらにお話を進めてみたいと思います。