NO.371 脳科学から考える療育 その2
NO.371 行動による脳の活性化…
保護者心得 【自閉】 【LD】 【多動】
おなじみのガッツポーズです…この写真は、難しかったそろばんで、100点をとった時、思わず「やった~」とガッツポーズした瞬間に撮影したものです。
嬉しいという感情、やったぞという達成感を、ガッツポーズで表現したもので、カメラを構えたからではなく、自然に自発的な行動を撮影した一コマです。
前回に引き続き脳科学から導きだされる行動原理と子ども達の可能性を探ってみたいと思います。
前々回のNO.368ニコニコしていれば…でも少々ふれましたが、私達の脳を騙して、感情をコントロールする事が出来ます。
笑っている、笑顔だから→楽しい・嬉しいと感じる事ができるとご説明致しましたが、半信半疑の方もおられるとおもいますので、別な事例でご説明したいと思います。
例えば、昨年家内が1カ月程留守をした時のお話です。
独身時代を思い出して何とか家事をしていたのですが、徹夜つづきで、洗濯物がたまってしまいましたが、どうしても眠い、体もだるくて洗濯機を回す気がしない。やる気がおきなくてダラダラしていた時の事です。
「よっこらしょ。」とソファーから起き上がり、嫌々ながら洗濯機に向かい、洗物を分別して
第1陣の洗濯物を回す…しばらくすると、体もモードに入り、洗濯機を回しながら掃除機を取り出し、フローリングの掃除を始めます。第2陣の洗濯が始まる前には、完全にやる気になって休日は家事の鬼となり、しまいには部屋の片づけまでやってしまう…
学生時代バレーボールをしていたのですが、気合を入れるために円陣を組んでみんなで掛け声をかける。すると気合が入り、やる気が目覚めるのです。
昔の戦場で出陣する前に「エイ エイ オー」と勝鬨(かちどき)を上げるのも、脳科学的に考えれば、行動をおこす事で感情をコントロールする手段であると考えられます。これは古今東西に関わらず行われてきたもので、知らず知らず私達は、感情をコントロールするために先に行動をおこしていたのです。
感情が先行して行動が起こるのではなく、行動をおこす事によって感情をコントロールしているのです。
一部のクラスで「頑張るぞ~」と指導を始める前に声出しをしてもらっているクラスがあるのですが、ざわついた行動も抑制され見事に集中できるようになっています。
私達の脳は頭蓋骨に囲まれており、直接外からの刺激を得る事はありません。しかし体に刺激が与えられると、脳の活動が開始され活性化される状態に突入します。
行動に合わせた脳の活性化モードを「作業興奮」と言います。
始める時はおっくうでも、作業をしている間に気分もスッキリしていくのです。
私の洗濯の話しと同じです。やる気なくダラダラしていても、刺激を与える事で、感じ方が変わるのです。
このブログもそうです。書き出す時は、何から書こうか、あれもこれもとやっているうちに、もっと良い写真はないかな~文章の修正と加筆をしたり気が付くと何時間も経っており、この文章自体早く帰ららなくてはいけないのに、深夜の2時に一人籠って書いているのです。今私の脳は活動モードに入っているのです。そしてもっと伝えたいという強い思いで満ち溢れているのです。
頭で考えるより、行動にうつす…つまり体を動かすのです。
体を動かす内に、スイッチが入るのです。
つまり、気が乗らなくても 机に座らせて、ノートを開く。
眠くて起きれなければ、布団をはがして、カーテンを開け、窓を開ける。
考えるより、まず動く事で、多くの問題を解決する事が出来るのです。
疲れ果てて帰宅し、夕食を作らなくてはならない時、「エイ」と気合を入れて台所に立つといつも間にか「もっとおいしい物をたべさせよう。」という思考に頭の中がかわるのです。
行動は脳の活動を制御する力があるのです。
子ども達に学習指導を促す時、行動する事を促す事で、やる気を引き出す事が出来るのです。
最初は嫌々であっても、ダラダラであっても、次第に集中し、もっと学びたいと思えるようになるのです。
難しい事をさせて、無理させて可哀そうと考えて学ぶ事を放棄するのではなく、行動を契機として、学ぶ楽しさを獲得する事が可能である事をご理解頂きたいと思います。
行動が脳を活性化させ、やる気を促し、成長の機会を与えるのです。学習を始める前に儀式を取り入れるのも一つの療育手段です。映像処理(モザイク等)が上手くいったら、COMPASSで頑張るお友達の取り組み方をお見せしたいと思います。